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 2014年03月 

冷やかし賃として。 

シュガー/シフター・スプーン


いつも定例の28日には朝早くから出かけていた結構な規模の「骨董市」には最近御無沙汰をしている。早起きが面倒くさいからでも小遣いの浪費になるからでもなくて、住まいの近くに「アンティーク・ショップ」を見つけたからだが
"アンティーク"と言ってもその定義は細かく言えば100年以上を経たもの、とかいう自己流の定義を持ち出す人もいるから訳がわからないけれど、まあ新品ではなく使われていたものでそれに美しさや新しい使い方を見出して良ければ買う。古道具であれ、アンティークであれ、ヴィンテージであれ、骨董であれ。
アンティークとアートを捩ったしゃれた店名の近くの店のブログを覗いて見たところ、気になる商品がアップされている、大体のイメージを勝手に沸かせてそこに早速行ってみると、“あ、あれ。あれは先日売れました。二個とも同じ人です”と言われてしまった。そこで商品のイメージはさらにいい物だったに違いないと増幅していく。失ったものほどプラスのイメージになっていく。釣り逃した魚、の話である。失ったというか買いそびれたかもしれない筒状の小壺の地肌はトロッとした白磁の肌触りで、つまみの付いた蓋のキャニスターのような壺!、と店主は言う。まさにその通りをイメージしていたのだから、もういい!と残念がる。どうやら薬品などを入れる日本で焼かれた陶器だったらしい。ネットでの画像ではたしかラベルが貼ってあって「〇〇酸」、とか微かに読めた茶色の擦れた紙ラベルであった。
この形・スタイル、この焼き方、この大きさがどうしてなのかはわからないが無償に好きなものだ。たとえば英国のチーズメーカーのスチィルトンのブルーチーズの壺入りチーズの味ももちろん上等で好きだから探したのだが、その壺の形が気にも入っていて、輸入食料品店の冷蔵庫で見つけると買ってきたりする。「壺」、「ツボ」にはまっているのだ。
以前どこかで書いたがやはり英国の蜂蜜の陶器壺なども棚にたまったりしていたのだが・・・。
残念、売れてしまったか。買えたならば予算はこのくらい、という算段をしてきたのだが代わりに何かないかな、面白い“なにこれ”的なものはと店内を見物する。フランスの時計屋が店を畳んで始末したとかいう講釈のウオッチの文字盤、修理用道具などでどのように使うものだろうかという腕時計を挟んで修理時に固定するのだろうか小さな〇が2つ付いた開閉できる真鍮の精巧な8字型道具、竜頭を挟む細かい鈍い色の鉄のペンチのようなモノなど・・・。
この店の横に店主の母親が自ら集めた女性の目で探したアクセサリー、布、食器等の趣味の品、それ風なガラクタ、いや小物を並べるスペースを最近作ったので顔を出す。前回来たときは大工仕事を息子(アンティーク店主)がしていてようやく開店したような感じである。
まあ、見るか、とケースに入ったシルバーの小物を眺めると、英国製のヴィンテージ紅茶道具的なものが並んでいる。多分好きで集めたものなのだろう。その一つを手にしてこのスプーンは何?、と聞くと“シュガー・シフター・スプーン”という。初めてその名を聞く、初めて見る美しい、掬ったらこぼれてしまう、というよりこぼす匙、製菓道具である。昔の職業柄、これを知らぬとはいやあ、まいった。
これは菓子を作るときこのスプーンでパウダー・シュガーを掬ってケーキなどに振り掛けるスプーンらしいのだ。実用の道具ではあるのだろうがこの装飾的な手作業の加工で造られたスターリング・シルバーのズプーンはなんと綺麗なのだろう。綺麗ですよね、細かい仕事で作られていますよねと話しながらもモードはすでに買いに入った。
このスプーンの皿の部分の透かし細工のデザイン、二枚貝のように少し柄に近い両側が反っているのがいい、柄の部分の細かい柄押の仕事に惚れてしまった。裏には刻印が幾つかついているがこの目で(老眼ではない!)は見えない細かい字だし、摩耗している。
ま、このコーナーの開店祝いに(それほどでもないか)購入する。スプーンの長さは12センチ、皿の幅は5.2センチと大ぶりではある。家庭で使う機会は滅多にはないだろうが飾りの物としても、と思いつつどこに飾るのか、仕舞うのかと帰宅の途中で掌のなかのスプーンを触りながら想う。先日は同様にここで使いこまれた14番デッシャーを買ってしまい、夕食時に無理してポテト・サラダをデッシャーで切って皿に載せたりした。これから夏に向かってはアイスクリームをこれで切って食べたい・・・・。
調理、料理小道具に惹かれるのは職業後遺症かもしれない。これからはアンティークな流動食ミキサー、嚥下用スプーンなどを見つけておくか。
ところで、この「銀の匙」はどこにしまっておくか、茶箪笥の引き出しにでも入れておけば孫でも見つけて欲しがるかもしれない時があるかもしれぬから。
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